つまみ細工の材料と道具、何から揃えるか|京都の工房が実際に使っているもの
つまみ細工を始めたいけれど、何から買えばいいのか分からない。教室でも、いちばん多く聞かれる質問です。
京都・西陣の工房で、私たちが日々の簪づくりに使っているものを、そのままお分けしています。この記事では、つまみ細工に必要な材料と道具を、はじめての方にも分かるように整理しました。
つまみ細工に必要なものは、たった4つ
道具箱をいっぱいにする必要はありません。必要なのは、この4つだけです。
- 生地 — 正絹の羽二重、またはちりめん
- 道具 — ピンセットと糊板
- 糊 — でんぷん糊
- 土台と金具 — おちりん、コームやクリップ
あとは指先があれば、花は咲きます。ひとつずつ見ていきます。
1. 生地 — ここで、作品のほとんどが決まります
つまみ細工は、小さな四角い布を指でつまんで花びらの形にする手仕事です。だから、布の質が仕上がりをほとんど決めてしまいます。
いま市場に出回っているつまみ細工用の生地の多くは、レーヨンやポリエステルなどの化学繊維です。安価で扱いやすいのですが、絹とは別のものです。
絹は、光の含み方が違います。発色が澄み、化繊より縮みにくい。そして何より、指でつまんだときの返りが違います。角がすっと決まる。正絹と化繊の違いについては、別の記事で詳しく書きました。
おはりばこが扱っているのは、正絹です。定番は羽二重。薄く、軽く、透ける美しさがあります。6匁(もんめ)と10匁があり、数字が大きいほど厚くなります。迷われたら、扱いやすい10匁からどうぞ。
もうひとつが、滋賀・長浜の一越ちりめん。こちらは白生地ですので、ご自分の手で染めることもできます。
2. 道具 — ピンセットと糊板があれば始められます
つまみ細工の道具は、驚くほど少なくて済みます。
- ピンセット — つまみ細工の要です。先の合わないピンセットでは、花びらの角が決まりません。小さな花には小さいものを
- 糊板 — でんぷん糊を薄く伸ばして使う板です。糊の量が安定すると、仕上がりが変わります
- カッターとマット — 生地を正確に裁つために。裁ち目が乱れると、花びらの角も乱れます
これだけです。工房でも、これ以上のものはあまり使っていません。
3. 糊 — なぜ、ボンドではなくでんぷん糊なのか
つまみ細工には、でんぷん糊を使います。ボンドではありません。
でんぷん糊は、乾くまでの時間がゆっくりです。だから、花びらの角度を何度でも直せます。指に残らず、絹の風合いを殺しません。おはりばこでは「姫糊」という専用のでんぷん糊を作っていて、教室でもこれを使っています。
もちろん、ボンドで手軽に作れるキットもご用意しています。まずは形にしてみたい、という方はそちらから。
4. 土台と金具 — 咲いた花を、作品に仕立てる
花を咲かせたあと、それを髪飾りやブローチに仕立てるための部品です。
- おちりん — 花を乗せる土台。大きさが一つ違うだけで、花の見え方が変わります
- コーム、クリップ、Uピン、パッチン留め — 髪に留めるための金具
- ビラ、メンコ、房 — 揺れて光る飾り。かんざしらしさは、ここで生まれます
地味な部品ですが、実は仕上がりを大きく左右します。だから私たちは、細かいサイズを切らさないように揃えています。
最初の一輪は、キットから始めても
ひとつずつ選ぶのが難しければ、キットという手もあります。生地、土台、作り方の動画と説明書が入っていて、届いたその日から始められます。教室で実際にお教えしている手順を、そのまま組み立てました。
京都 おはりばこの材料について
おはりばこは、京都・西陣で創業80年、簪と和装小物を作り続けてきた店です。ここで扱っている材料と道具は、すべて工房の作業台に載っているものです。自分たちが使わないものは、置いていません。
つまみ細工の教室も開いています。何を選べばよいか迷われたときは、お気軽にご相談ください。
