その一越、本物の絹ですか|長浜の一越ちりめんという白生地
つまみ細工の世界で、「一越ちりめん」は、よく知られた信頼のある生地の名前です。教室でも、材料を探している方から、よくその名前を聞きます。
けれど、ひとつ申し上げておきたいことがあります。
いま「一越ちりめん」として出回っているものの多くは、レーヨンやポリエステルなど、化学繊維でできています。
ちりめんとは、そもそも何か
ちりめん(縮緬)は、強く撚(よ)った糸を織り込んで作る絹織物です。織り上げたあと、その撚りが戻ろうとする力で表面が縮み、細かなシボ(凹凸)が生まれます。あの独特の、しっとりとした表情はここから来ます。
「一越」は、その織り方の名前です。緯糸(よこいと)を一本ずつ交互に打ち込むので、一越。シボが細かく、上品に仕上がります。
つまり本来、ちりめんも一越も、絹の話なのです。
その一越、本物の絹ですか
ところが名前だけが独り歩きして、いまでは化繊のものが「一越ちりめん」として売られています。安価で、扱いやすく、たしかに便利です。
ただ、私たちがお届けしたいのは、正絹の「本一越」です。
本物の絹だからこその、上品な光沢と手触り。絹は染料をよく吸うので発色が澄み、化繊より縮みにくい。そして白生地ですから、ご自分の手で、思いどおりの色に染めることができます。
長浜という産地のこと
おはりばこが扱っている本一越は、滋賀・長浜のものです。
長浜は、かつて日本一の縮緬の里でした。約250年の歴史があります。高品質な生糸を仕入れ、強く撚り、織り、仕上げるまでを、一軒の機屋(はたや)が一貫して手がける。そんな最高級の白生地の産地でした。
和装の需要が細るとともに、生産は減り続けました。いまは全種類を合わせても、年に約八千反。それでも七軒の作り手が、最高峰の白生地を織り続けています。
組合の精練を経た白生地だけが、「浜ちりめん」と呼ばれます。反物には、その検査の証が押されています。「浜ちりめん」「正絹100%」「日本の絹」と。
この絹を、絶やしたくない
これだけ厳しい状況でも、ものは本当に素晴らしいのです。
私たちがこの白生地の取り扱いを始めたのは、単に商品を増やしたかったからではありません。この本物の絹を、一人でも多くの方に知ってほしかった。それだけです。
産地は、使う人がいなくなれば消えます。買うことは、残すことです。
必要な分だけ、30cmから
反物を一反まるごと、というのは勇気が要ります。ですので、必要な分だけの切り売りもご用意しています。30cmから承っています。
白生地ですので、染めから始めたい方に向いています。つまみ細工の生地としてはもちろん、和装小物や、ご自分の作品づくりにも。
京都 おはりばこについて
おはりばこは、京都・西陣で創業80年、簪と和装小物を作り続けてきた店です。ここで扱っている材料は、すべて工房の作業台に載っているものです。
つまみ細工の生地選びについては、正絹と化繊の違いを書いた記事もあわせてどうぞ。