つまみ細工の生地|正絹と化繊は、何が違うのか
つまみ細工の生地を探していると、「つまみ細工用」と書かれた布がたくさん出てきます。値段も、素材も、ずいぶん幅がある。何を選べばいいのか、迷われると思います。
結論から書きます。作品の仕上がりは、生地でほとんど決まります。技術ではなく、布です。京都・西陣の工房で簪を作り続けてきて、私たちはそう思っています。
いま出回っている「つまみ細工用の生地」の多く
市場に出ているつまみ細工用の生地の多くは、レーヨンやポリエステルなどの化学繊維です。悪いものだ、と言いたいのではありません。安価で、扱いやすく、色数も豊富です。練習にはとてもよい。
ただ、絹とは別のものです。そこは、はっきりさせておいたほうがいいと思っています。
正絹と化繊は、何が違うのか
違いは3つあります。
- 光の含み方 — 絹は繊維の断面が三角形に近く、光を乱反射します。だから、てらてらと反射するのではなく、内側から発光するように見えます
- 発色 — 絹は染料をよく吸います。同じ色を染めても、化繊より澄んだ色が出ます。濁らない
- つまんだときの返り — これがいちばん大きい。絹は指でつまんだ形をそのまま覚えます。角がすっと決まる。化繊は戻ろうとします
3つ目は、実際にやってみないと分かりません。教室で両方を触っていただくと、みなさん驚かれます。
羽二重(はぶたえ)— つまみ細工の定番
おはりばこの定番は、正絹の羽二重です。薄く、軽く、透けるような美しさがあります。
厚みは「匁(もんめ)」という単位で表します。数字が大きいほど厚い。
- 6匁 — 薄手。繊細で、花びらが軽やかに仕上がります。ただし扱いには少し慣れが要ります
- 10匁 — 標準。しっかりしていて角が決まりやすく、初めての方はこちらから
迷われたら、10匁からどうぞ。教室でも、最初は10匁でお教えしています。
糊加工の有無も選べます。糊がついているとハリが出て、角が決まりやすい。糊加工なしはマットな質感で、丸つまみのふっくらとした表情に向きます。
もうひとつの選択肢 — 一越ちりめん
羽二重のほかに、滋賀・長浜の一越(ひとこし)ちりめんも扱っています。こちらは白生地ですので、ご自分の手で染めることができます。
ただ、この「一越ちりめん」という名前には、少し込み入った事情があります。別の記事に書きましたので、興味のある方はどうぞ。
まず、少しだけ試してみたい方へ
いきなり反物を買う必要はありません。カット済みの生地や、色見本、お試しセットをご用意しています。
- カット済み生地 — 15mmから40mmまで、サイズごとに裁ってあります。裁つ手間なく、すぐ始められます
- 色見本 — 10匁羽二重の全19色。画面では分からない絹の発色を、手元で確かめられます
- お試しセット — 17色の生地とおちりん10本。ひととおり揃います
京都 おはりばこの生地について
おはりばこは、京都・西陣で創業80年、簪と和装小物を作り続けてきた店です。ここで扱っている生地は、すべて工房の作業台に載っているものです。自分たちが使わない布は、置いていません。
何を選べばよいか迷われたときは、お気軽にご相談ください。つまみ細工の教室も開いていますので、実際に触っていただくこともできます。